AIに仕事を任せる話をすると、経営者の方がまず心配されるのは「勝手に変なことをしないか」です。お客様に間違った返事を送ってしまわないか。勝手に何かを約束してしまわないか。
その心配は正しいと思います。だから私たちは、AIが自動でお客様に返信する仕組みは作りません。AIに任せるのは、読むこと・整理すること・下書きを作ることまで。送信のボタンは、人が押します。
「自動返信」と「下書き」は別物
同じ「メール対応のAI活用」でも、中身はまったく違う2種類があります。
- 自動返信型: AIが内容を判断して、返事の送信まで行う
- 下書き型: AIは返事の準備までを行い、確認と送信は人が行う
見た目の説明は似ていますが、設計思想が根本から違います。私たちが作るのは後者だけです。
AIが得意なこと、人がやるべきこと
理由は単純で、AIと人では得意なことが違うからです。
AIが得意なこと — 読む(長いメールも一瞬で)、整理する(どの案件の話か、急ぎかどうか)、探す(過去のやり取りから関連する情報を)、下書きする。
人がやるべきこと — 送る、約束する、判断する。
AIは優秀ですが、間違えることがあります。間違いが許されるのは「人が後から直せる場所」だけです。下書きの間違いは直せば済みますが、送ってしまった返信は取り消せません。だから、取り消せない操作の手前に必ず人を置きます。
実例: 私たちの会社で毎日動いている仕組み
私たちの会社では、お客様からのメールをAIが読む仕組みが毎日動いています。流れはこうです。
- お客様からメールが届く
- AIが1時間ごとにメールを確認し、どのお客様の・どの案件の話かを特定する
- 内容を整理して、やることリストに起票する
- 作業の予定をカレンダーに登録する
- ここからが人の出番。整理された内容を確認して仕事に着手し、お客様への返事は人が書いて送る
AIがやっているのは「読んで、整理して、準備する」まで。この仕組みを入れる前は、「メールを読んで、どの案件の何の話かを思い出して、整理する」だけで毎日1〜2時間が消えていました。いまその時間は、整理された結果を確認するだけになっています。対応の中身と返事は、以前と変わらず人間の仕事です。
実物の流れはトップページの図に載せています。イメージ図ではなく、この記事を書いている今日も動いているものです。
線引きを最初に決めると、怖くなくなる
お客様の仕組みを作るときも、最初に決めるのはこの線です。「AIに何を任せて、何を任せないか」。
私たちの出発点はいつも同じで、読むことは任せる、書き込むことは任せないです。書き込みとは、お客様への送信、データの書き換え、お金が動く操作のこと。運用しながらAIの働きぶりを確認して、信頼できる範囲が見えてきたら、少しずつ任せる範囲を広げます。最初から全部は任せません。
AI導入の第一歩は、高性能なAIを選ぶことではなく、この線引きを決めることだと私たちは考えています。線が引けていれば、AIは怖い相手ではなく、よく働く準備係です。